口角をあげるとポジティブな気持ちになる。
こういう話は色んな所で聞く。それってほんとなんですかって多くのひとが思うことだろう。
高校生のころの僕も同様で、笑顔を作る程度でこの澱んだ感情をどうにかできるとは思えなかった。
ただまぁいろいろあって、どんなものにでもすがりたくなっていたのが高校時代の僕。高校も半不登校気味だったし、右手首には今でも傷跡が残っている。
そんな高校生の僕は、暗い感情を少しでもなんとかして、少しでも学校にきちんと行くために、少しでも出来ることをやろうと思った。
それから僕は出来るだけ笑顔を作るようになった。学校の登校中や部屋でぼんやりしてる時、学校の休み時間……
数日笑顔を作ることを継続して気づいたことは、思った以上に僕は笑っていなかったことだ。人と話すときは確かに普段から笑顔だったけど、それ以外で笑顔を作ることはなかった。そんなことにすら気づいていなかった。
そして自分の表情の変化にも気づいた。笑顔を作る始める前より、自然な笑顔を作ることが出来るようになっていった。
一番大事な精神的な変化については……まぁなくはないという感じ。
結局のところ、ネガティブな精神がポジティブに数日で変わることはなかったし、学校も完璧に登校できたわけではなかった。
でも、頑張れるような気がした。いつもはきっついなと思っていたことが、ちょっとだけ頑張れるようになった気がした。
ほんと精神的には暗いままだったけど、なんか頑張れる気がして、ちょっとだけ心に余裕が出来た気がした。
それから辛いときは笑うようにした。作り笑顔でもなんでもいいからとりあえずスマイルするようにした。
そうしていると、だんだんと辛いときは自然に笑うようになった。つらいことを隠すのが前よりも上手になった。
笑顔でいるとポジティブになれるか、と言われたら僕はそうは思わないけど、ほんのちょっとだけ心に余裕が出来る気がする。頑張れる気がする。
本当に余裕がなくてつらいときは、作り笑顔でもいいから笑ってみるといいかもしれない。笑い方を忘れてしまう前に。