鶴岡八幡宮を出て、次に向かうのは紫陽花寺として有名な明月院。その道すがらでランチも食べようということで、山側の道を徒歩で進んでいた。
この辺やっぱり神社おおいな~とか、こんなとこに美術館あるんだ~なんて思いながら道を進む。その折に気になる参道を見つける。
山道に唐突に現れる参道。なんだか妙に惹かれる。いや、これまでの道中も気になるものは多かったのだけど、これは特に惹かれる。何がというのを言葉で説明できないが、なんか惹かれるものがあった。
参道を登ったところにあった看板。「円応寺」というらしい。建立1250年。800年近くの歴史がある寺ということか。すご、妙な魅力はそこから醸し出されているのだろうか?
登ってすぐのところに受付がある。入場料は300円。ついでにここで御朱印も貰えるらしい。入場料&御朱印をもらい、入場。
何とも力強い御朱印である。個人的には中々好み。こういうシンプルにド強い御朱印って中々ないんだよね。珍しい。
お賽銭を済ませ、帰ろうかとおもったけど、本堂の中に入れるっぽい。せっかくなので少し見ていく。
本堂の中には左右に様々な仏像、そして正面に閻魔様がいらっしゃった。こちらは左手の仏像。これらは総計で10人であり、総称として「十王」と呼ばれているそう。これが御朱印にも力強く表れていたわけだ。
一人一人の王をじっくりと眺める。他の何にも例えられない威厳のようなものが堂全体を包んでいる。声を出すのも憚られる。
左手から奥に向かって。この微妙な暗さも地獄や冥府を想起させる。宗教的な神聖性を感じる気がする。
なぜかよく印象に残っている大山王。両手を開いて降参しているように見えるポーズだが、その形相に巡る気がそうは感じさせない威厳を放つ。怖いけど綺麗という印象。
そして閻魔様。
閻魔様の前に並ぶ椅子に座りぼんやりと眺める。何か罪をとがめられるような……何にも悪いことしていないのに「僕なんかやったっけ?」って思ってしまう。かといって立ち上がるのも憚られて、針の筵にいるような気分。それでいて、ストレスを感じているわけでもないのだから、独特の感覚である。
それなりに長い時間、閻魔様を見つめていた。どうこう考えるとかではないけど、なんとなく立てなくて。写真では言い表せない威厳。恐らく僕はこれに引き寄せられたのだろう。なんか悪いことしたかな……
一通り考えて、なんも悪いことしてないと確認して立ち上がる。罪をとがめられるような気分だったのに、なんか悪い気はしないんだよなぁ。やっぱり不思議だ。
最後、寺を出るときにアジサイが咲いていた。ひと房?だけ咲いていて、なんだかとても綺麗だった。