ある平日のことである。僕は日付が変わる頃に布団に入り、いつものように睡眠用BGMとしてゆっくり解説動画を流す。これでいつもなら30分もしないうちに眠りに落ちる……ハズだったのだが。
ーー寝られない。気がついたら1時間が経っている。目を瞑り、呼吸に意識を向けて時間が過ぎるのをただ感じていたら1時間が経っている。普段なら意識を手放すはずがまだハッキリとしている。
ね、寝られない。そこから30分ほど横になって寝る努力をしていた僕もたまらず布団から這い出でる。あんまりにも意識がハッキリしすぎている、こんなんいつまで経っても眠れやしない。
ここまでどうしようも無くなると「寝る」という選択肢を取るのを諦めてしまう。僕はPCを起動して、ゲームを始める。ゲームしながら考えていた。なんでこんな眠くない?もしかして薬飲み忘れた?
僕は睡眠障害があり、普段から睡眠薬を飲んでいる。なので、それを飲んだと思っていたが実は飲んでいなかったのでは無いか、と疑った。飲んだような気がするけど、今の現状を見れば結果は明らかだろう。絶対飲み忘れてる。
しかし、今から飲むという選択肢を取るのも難しい。今飲んでしまうと効果が切れて起きれる時間にはもう仕事が始まっている。つまり飲んでしまえば遅刻確定。
そんな僕の取ることのできる選択肢はひとつ、「寝ない」だった。どうせ明日の仕事時に痛い目見るのは分かっているが遅刻するよりはマシである。そう思って夜を明かし、空が段々と明るくなってくる頃……
ーー眠い。眠気のピークが来ていた。外はもうしっかり明るい。仕事の時間を考えると寝られるのはあと30分ほど。その頃にはいつもの目覚ましも鳴り響くことだろう。
「ちょっとは寝ておかないと仕事に影響でるよ」
思考力の下がった頭はそんな提案を続ける。僕はそれに逆らうことが出来ず「30分だけ……」と横になった。
ーー目を覚ます。気持ちの良い自然な目覚め。……自然な目覚め?違和感を覚える。段々と寝る前の記憶が戻ってくる。30分……?
時計を見る。午前12時前。
………………寝坊である。類を見ない大寝坊である。
速攻でパソコンを立ち上げ上司に連絡。ここまでの寝坊は社会人になって始めてである。焦る焦る。とりあえず上司に報告すると、「体調悪かった?大丈夫?」と怒られるでもなく心配された。
まぁここで一安心なわけだけど、怒られないなら寝坊していいわけでない。
猛省、である。何故こんなことになってしまったのか……理由は主に2つ。薬を飲み忘れたことと、ギリギリで寝てしまったこと。
対策としては「ちゃんと薬を時間通り飲もう!」と「明るくなったら布団に入らない!」になるわけだけど……いつかまたやらかしそうで怖い限りである。