思ひ出の中の駅へ【採銅所駅】
自分の祖父母宅が福岡は北九州市にあった。
小学生の頃、福岡市の方に住んでいた僕は、毎年年末になると妹と2人で電車に乗って祖父母宅へ。新幹線なら一発だけど、金銭的問題から普通列車で行っていた。数日のお泊まりセットをからって、電車に揺られて2時間ほど。
計5,6回は電車で行ったとおもうけど、1度だけ電車をバカ乗り間違えたことがある。なんか本来向かう方と反対方向に行って、気がついたら知らない田舎だった記憶だ。
さすがに気づいて電車を降りて、折り返しの電車を待つ。その際に降り立った駅が「採銅所駅」だった。筑豊の超ローカル駅。記憶の僕らが降りた時は他に誰も降りず、折り返しも1時間くらい待った覚えがある。
この時、そんなことがあったなぁ、とつい先日何故か思い出した。思い出したらなんだか行ってみたくなってしまった。なので、年末の帰省のタイミングでちょっくら行ってみることにした。
まずは新幹線で関東から福岡は小倉へ。ここから日田彦山線で30分ほど揺られることになる。

小倉駅の自販機。何度も来ている街のはずなのに、なんだか新鮮な気もする。でもやっぱり関東より人が少なくていいね。
さて、ここから電車に乗って進んでいく。電車は2両で向かいあわせの椅子がいくつか並ぶ感じ。僕の向かいには女子高生が2人座った。もう冬休み入ってるだろうし、部活帰りだろうか?
冬の柔らかい日差しを受けながら、ぼんやりと車窓の景色を眺める。工業地帯の街並みは住宅街を経て、山村のものに変わっていく。
そんなアナウンスで電車は止まる。ここら辺はもちろんIC化されてなくて、切符が必須。小倉駅にICで入ってしまった僕は、そのことを運転手に説明する。すると始発からここまでの代金を現金で、とのこと。お金下ろしてきてて良かった……

降り立った駅には、簡単な看板と駅舎。それ以外には改札すらない。までもローカル駅としてはまだ色々ある方だろう。ホームも2線あるしね。
駅を少し歩き回ってみる。記憶の中の駅よりはやはり少し小さくて……だだっ広いでかいホームに思えた場所は、車両が3両入らないくらいだった。子供の頃はもっとおおきく見えていただろうに。妹と二人でこのホームで途方に暮れていたのを思い出す。母親に電話したら大笑いされたっけ……
見覚えのない草が実っている。冬の寒々しい景色だけど、森は緑と小麦色。九州の山は色鮮やかだ。
ホームの先は無限に続きそうな線路。往復の2線があるけど、向かいのホームに阻まれてよく見えない。

駅舎には柿が吊るされていた。どうやら駅舎には香春町の移住相談センターみたいなのが入っているらしい。そこの人が干しているのだろうか?

黄色い切符入れ。改札にはこれしかない。やろうと思えば無賃乗車が簡単に出来てしまう。これこそ信頼で成り立っている社会だろう。
……あれ?幼い頃の僕、運賃払ってたっけ?全然記憶ないけど……?

駅舎には門松があり、既に新年に対して構えていた。この駅舎は有形文化財指定を受けているらしい。つまり歴史的建造物なのだけど、改修工事は何回かしているそう。
記憶の中の駅は思ったよりも大きくて、思った通りに何も無かった。記憶を振り返る旅としてはなんか感慨深いものがあって良かった。