lothar’s diary

社会人3年目のSE雑記ブログ。毎日20時更新

無意識に選択肢を狭めて話す

実家暮らしの友人の話を聞いていた。

一人暮らしをしたいけど場所はどうしよう。実家の親とはあまり関係が良くないから距離を離したい。早く家を出たい。職場の近くだと嬉しい。初めての一人暮らしになるから家賃も安く抑えたい……などなど。

そんで場所はもう決めているらしかった。○○駅周辺に住もうと決めているようで、決め手は「職場から近いこと」だそう。聞く限りだとその駅は実家から近いそうで……親との関係が良くないという前提ならもう少し距離取った方がいいんじゃないか、と思ったけど……職場の近さで選んでいるならまぁ仕方ないか、と僕は思った。何となく納得行かないというか……違和感はあるけど、本人がそれで良いなら僕が口挟むことじゃないし。

 

その数日後。

またその話をした。その時は駅周辺をGoogleマップで見せながら話してくれた。

その時にふと気づく。彼のマップには職場がよく行く場所として登録されている。それを見ると、候補地の駅から離れているような……?

 

「ねぇ、この職場ってとこから○○駅ってどれくらいかかるの?」

「え、電車で30分くらいだよ」

「……?え、ちょっと待って?この間○○駅は職場から近いって言ってたけど、最寄り駅とか10分圏内とかではないの?」

「違うよ」

 

え?それなら話が変わってくるんじゃないか?30分もかかるならもっと近い駅あるし、家賃ももっと近くて安いところがありそうだ。上手い場所なら実家からもかなり距離が取れる。

全然話が違う。あまりにも嘘である。彼の話していた彼自身の要望とはかけ離れている。

しかも彼は僕が指摘したことに対して、「盲点だった」とでも言うように驚いている。

気になった僕は聞いてみた。

 

「もしさ、僕がなんも言わなかったら……そのまま○○駅を選んでたの?」

「うん、そこしかないと思ってたから」

 

より詳しく話を聞くと、祖父母から「○○線(彼の実家が最寄りの路線)の近くがいいんじゃない」と聞かされていたそう。それでそこ以外は考慮から抜け落ちていたっぽい。

彼は無意識にそこで思考を狭められていたのだろう。僕に語った話に嘘は無い。職場まで30分を「近い」と語ったのは彼自身が自分に言い聞かせるためだったのかもしれない。僕からしたら30分は遠くはないけど、それを理由に選ぶ場所では無い。

 

実家から離れたい、といつも言っているのに……無意識に実家の近くを選んでいた。考えてないと言うよりは、考えるきっかけがなかったのだろう。僕がそのきっかけになれたなら、良かったかもしれない。

 

こうして無意識に選択肢を狭めること……おそらく僕もやっているだろう。似たような事例でしっかり心当たりがある。僕の母は福岡に住んでいる。母からしたら上京した先で息子が路頭に迷わないか心配だったのだろう。何度も「東京は金がかかる」と言われ、結局言われるがままにかなり家賃が安いところに住んだ。しかし、会社の同期の家賃を聞いてみるとウチ+2万くらいが平均だった。生活だってそんなに苦労しなかった。取り越し苦労だったわけだ。

これも僕じゃない他人に勝手に選択肢を狭まれ、考えなかった結果かもしれない。僕の場合はこれが悪い方向には向かわなかったのでまだマシだけど……彼もその本質は何も違わないだろう。

 

この無意識の枷に、どうすれば僕らは自分で気づくことが出来るのだろう。