lothar’s diary

社会人3年目のSE雑記ブログ。毎日20時更新

ディストピア小説の金字塔【一九八四年】

 

もう数年前から時折名前を聞く小説がある。

 

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一九八四年。

ディストピア小説の金字塔ともいわれる、有名な小説である。大学の時、僕は文芸サークルに居たんだけど、その時に友人からかなり進められた。

さらに最近は推しのVtuberが好きな本として挙げていた。そういういくつかのきっかけが重なって、古本屋で見かけて手に取った。

あらすじとしては、党が支配する全体主義的近未来。党で事実改ざんの仕事に就く主人公のウィンストンは以前から党による厳しい監視社会に疑問を抱いていた。そんな折、同じ思想を持つジュリアと言う女性と出会う。二人が党の眼を逃れて仲を育む中、伝説的な地下組織とつながるきっかけを得るのだが……って感じである。

 

 

ここからは読了した後の感想である。ここからネタバレアリね。

なんというか……ディストピアの金字塔と言うのが納得である。

こういう小説の鉄板って「肉体や体制は従わされても、心までは絶対に譲らない」と言う結末になりがちなイメージなんだけど、そのイメージが完膚なきまでに叩きのめされる。

 

「 2 + 2 = 5 」

 

小説後半でこれが出てきたときの衝撃たるや。あぁ、心まで曲げられたのだな、と衝撃が走る。読んだことある人ならこの計算式に全てが詰まっていることがよくわかるだろう。

ディストピアって大抵の場合、その成り立ちや思想に欠陥があって、そこを突いて牙城を崩そうとするイメージで、今作も中盤までは同様である。

しかし、しっかり裏切られるのよ。最初から反乱組織とかなくって、場所を貸してくれていた人さえ秘密警察の一員であり、ウィンストンは反乱組織とのつながりを欠片も持っていなかった。ここまでは正直少し退屈な小説だと思っていた。世界観はすごいけど、ひたすらにウィンストンの日常がつづられていくだけで劇的ではないし、反乱組織との出会いも起承転結で言えば起でしかない。ウィンストン自身からすれば劇的だが、読者からしたら、そこまでじゃない。ひたすらウィンストンの日記を読んでいる感覚。

 

それが後半である第三部から劇的に変化する。この辺りずっと描写がグロいのだけど、妄信すること、自分の信念を信じること、人の弱さ、現実社会への警鐘……そんなメッセージ性がめちゃくちゃに伝わってくる。

 

自由が隷属なり

 

作中出てくる党のスローガンである。最初は意味不明だったこれが、段々と何が言いたいかわかってくる。あまりにも理論的ではないけど、そのすべてが二重思考で実現される狂気。「2 + 2 = 4」と言えることを自由だと言っていたウィンストンが、最後には「5」と答える。「5」にしろと言われたら「5」になる。それこそが隷属であり、同時に自由なのだ。

この意味不明がなんとなく理解できるようになってしまう。最後の第三部まで読むことで多くの人がこうなるだろう。心までを支配するディストピア。僕のディストピアに対する解像度はどうやらかなり低かったらしい。