こんちゃー、ロタールです。
何の気なしにアマプラでなんか面白そうなのないかなと見ていたら、前々から名前だけは聞いていた「ミッドサマー」があったので見てみました。
あらすじ
アメリカの大学生クリスチャンとその彼女ダニー。精神不安で彼に依存していたダニーだが、クリスチャンが彼の友人の故郷へ旅行に行くことを知り、ついていくことを決める。旅行先はホルガと呼ばれる小さな共同体のある村。そこでは夏至祭と呼ばれる90年に一度の大祭が開かれるのだが、それは何か不気味な気配を感じさせる奇祭だった。
終始狂った描写の目立つホラーのような何か
以下、ネタバレあり。
「ミッドサマー」はジャンルとしてはホラー映画らしいのですが、たぶん視聴した多く人が「うーーん、ホラーと言われればホラーなんだけど……」って感じると思います。
一応スプラッター描写もあるのでホラーですが、それらは怖がらせようとして写した感じではないです。それが当たり前のものとして存在しているのを外部の人間の視点から見てる、みたいな。
というか主人公であるダニーが精神不安定です。彼女の視点から語られる映像が多いので、ホルガに行く前から結構不気味だったりします笑
また、作中でマジックマッシュルームかな?幻覚剤と思われるものを使用する描写があるのですが、そのおかげか花や料理がゆがむ描写があります。
それが悪い夢を見ているようで不安感を駆り立てます。
ホルガの村では夏至祭が行われるのですが9日間行われる夏至祭の一日目に、二人の老人が村民の見守る中、飛び降り自殺します。
凄惨な光景に各々反応を示す一行でしたが、そのような異常な光景に対して全く動じないホルガの人々。
彼らにとっては、それは常識であり、当たり前に行われることなのです。
外からの旅行客であるダニーたちと村の人々の根本的な認識、常識の違い。そこに現れる不気味さ、解離、違和感がこの映画の醍醐味なのかな、と感じます。
ホルガの価値観に飲まれていくダニーたち
段々と友人たちが姿を消していく中、ダニーはメイクイーンを決めるためのダンス大会に参加します。
そこで優勝しメイクイーンとなるダニー。
祝福され、花冠をかぶせられるダニー。それまでクリスチャンに対する依存が理由で友人たちから煙たがられていたダニーにとって、それは承認欲求を満たす最高に心地よい空間だったと思います。
その心地よさのせいか、ダニーは段々とホルガの儀式に疑問を持たなくなります。ホルガという共同体の常識に飲まれ、今まで視聴者と同じ視点にいたはずのダニーが私たちの価値観から離れていく様子はまるで洗脳。
またクリスチャンにしても、村の価値観に飲まれていきます。
村のリーダー的人から村の少女との性交を認められるクリスチャン。もちろん最初はクリスチャンも「意味わからんのだが……」みたいな顔してますが、メイクイーンとなり笑顔を見せるダニーに流されるように村の少女と性交してしまいます。
そのシーンがぶっちゃけかなり気持ち悪い。全裸の村の女性たちに囲まれて種を放つクリスチャン。それは性的描写というよりも儀式的描写が強いように感じます。
僕はこのシーンで気持ち悪くなって小休憩をはさみました。しばらくAV見ても興奮できなさそう……
種を放った後に賢者モードで冷静になったクリスチャン。おもわず全裸で逃げ出しますが、儀式の犠牲者たちを目にして捕まってしまいます。
この辺はマジスプラッター。普通にグロかった……
この後の衝撃的なラストは自分の目で確かめてください。
明るいからこそ目立つ人間の怖さ
物語の舞台であるホルガはスウェーデンの村であり、白夜ということもあって真っ暗な映像がほとんどありません。
これが普通のホラーと違うところ。
ホラーによくある驚かせる描写がほとんどないですね。
明るいからこそ、終始笑顔な村人や、おそろいの白い衣服、シンメトリーが強調される描写がよく伝わります。
だからこそ、ホルガという共同体の異常性がよくわかるんじゃないかなと思います。
ぶっちゃけ二度と見たくないですが、人類学の教授とかに視聴してもらって感想聞きたいです。
「民俗学的にはあの作品はどんなふうに見えますか?」とか、素直に聞いてみたいです。