ある日授業を受けているときに、僕はタイトルのようなことを思った。
誰にでもわかりやすく難しいことを説明できるのが本当に賢い人っていうけどそんなことなくない?と。
いや、正しく言えば、本当に賢い人は特定の条件下ではこれが出来ると思う。それは、
- 無限に時間があり、
- 聞き手にある程度の理性があり、
- 聞き手に話を聞こうとする意志がある。
そんな状況であれば、わかりやすく説明できると思う。
ただ、現実においてこの条件をすべて達成できることは早々ない。少なくとも難しいことを説明するときに、これがすべて満たされていることはほとんどない、と思う。
だからこそ、「本当に頭のいい人は難しいことを簡単に説明できる」は嘘だと思う。
――そもそも、難しいことを簡単にわかりやすく説明するとは、「難しいものを簡単なものにどんどん分解しながら説明する」ことだと思う。
例えば、
1+1=2
と
1×2=2
だとどっちが難しいだろうか?多くの人は後者が難しいというだろう。
これは掛け算をより簡単にしたのが足し算だから。
「1×5」を分解すると「1+1+1+1+1」。足し算がよりわかりやすい簡単な概念なのだ。
掛け算がより難しいものになると「1⁵」みたいなものになる。こんな風に概念を積み上げることで、難しいものは作られていく。
つまり、難しいものを理解するには、その一つ下のランクの難しいものを理解しておかなくちゃいけない。
だから、難しいものをわかりやすく説明するならめちゃくちゃ簡単なものから説明を始めればいい。累乗を簡単に説明したいなら、足し算から説明を始めればよい。時間はかかるけど、これで簡単に説明できる。
でも、「そんなとこから説明してたんじゃ時間がたりないよ」ってなるでしょ?だから、結局簡単に説明できないんだよ。
も一つ例を挙げると、「リベラリスト」をわかりやすく説明してください。とかがわかりすいかも?
自由主義:自由主義(じゆうしゅぎ、英: liberalism、リベラリズム)とは、自由と平等な権利に基づく政治的および道徳的哲学である。政治色は黄色で、シンボルは黄旗である。
ってカンジ。
この説明だと、リベラリストの意味を理解するには「自由、平等、権利、政治、道徳、哲学」あたりの意味を理解している必要がある。
この中から一つ、「自由」の意味を調べてみると、
じ‐ゆう〔‐イウ〕【自由】
ってなカンジ。
こんな風にどんどん分解して説明していけば、いつかは誰でもリベラリストの意味を理解できると思う。
難しいことを話す人たちは、下位概念を相手が理解していると思って話している。リベラリストの話をするなら、「自由、平等、権利、政治、道徳、哲学」あたりの意味を理解していると思って話をする。
でも、そのうち1つでも意味が分からなければその話は途端に難しくなる。だから難しい話してんな―と感じるのである。
――なんかこういろいろ難しく書いてしまったけど、それを踏まえて言いたいことは
「頭のいい人は分かりやすく説明できるって言うけどさー。それ言う人ってだいたい説明受ける側だよね。それって説明する人の想定する事前知識を持ってないだけだよね?言い訳する前に、もうちょっと自分で調べてきたら?」
というシンプルな愚痴である。