新社会人として毎週平日8時間労働をするようになって、しばらくが経った。
僕の仕事はいわゆる技術職で、未経験でも歓迎な会社なので最初は技術研修がある。それまでほとんどその分野に触れたことも無く、ほぼ未経験の僕は入社前からそれなりに不安を抱えていた。
だが研修が始まってしばらく経った現在、僕は思ったよりも上手くやれていた。研修の成績もそれなりに良く、未経験ながら、経験者の同期とある程度議論を交わすこともできていた。グループ活動でのコミュニケーション能力も評価され、面談ではべた褒めされて「本当に未経験?」と聞かれた。
正直ほっとしている。これから何とかやってけそうだ、と安心している。これだけならまぁ普通にいい人だと思う。
--未経験歓迎ということで、僕以外にも同期の半数近くは未経験だ。そのような未経験の人と自分をどうしても比較してしまう。
そうして比較すると、僕の方がめちゃくちゃできている。慣れてきてかなり適当にやり始めた今でさえ、僕の方が学習理解度もコミュニケーションを上、だと思う。もちろん僕と同じようにできる人はいるけど、未経験だと僕以上にできる人は居ない。
人によっては研修について行くだけで精一杯で、時間外でも自習をしている人がいるほどだ。僕は残業大嫌いなので研修中以外全く勉強してないけど、それでもその人らよりも出来てしまう。
そういう僕よりできない人を見て、僕は安堵していた。口では「まぁ未経験なんてみんなそんなもんって!僕も不安でしょうがないし」なんて言っても、どこか見下して安堵する自分がいる。
そうやって見下す自分に嫌気がさす。性格悪いなぁなんて思って少し自己嫌悪。
人間として生きてる以上、そう感じるのは仕方ないなんて思ってるけどさ。そんなふうに思ってる奴って、客観的に見たらあんまり仲良くなりたくないよね。
僕は、僕にとって僕自身が最も仲良くなりたくない人間であることを自覚する。もう受け入れた自分の醜い面だと理解しているつもりだけど、こうして改めて醜悪な心持ちが顕になると嫌な気持ちになる。
--これまでいた環境のせいで、そんなこと思いもしなかったが、僕はどうやらどちらかと言うと優秀な人間らしい。他人と比較して、そう認識を改めた。自己評価を最近そう改めたのだけど、その評価見直し自体がなんか嫌だよね。自分が優秀なのを否定するのは違うと思うけど、その過程に他人を見下す行為がある。だから、その自己評価を素直に受け入れられない自分がいる。
相反していて、なんか厄介ね。素直に自分が比較的優秀なことを喜べる人間だったら良かったのに。