lothar’s diary

社会人1年目のSE雑記ブログ。毎日20時更新

ペトリコール

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最近僕はよくキタニタツヤ(敬称略)を聴いているのだが、その中でも特に聴くのがこの「moonthief」である。なかなかクセになる良い曲で、仕事中にこれだけずっと流していたりする。

 

夜去、香り立つペトリコール

 

この曲の中にこんな歌詞がある。ペトリコールってなんやろ?聞いたことはあるけどなんか知らんな。香水?

気になったので調べてみた。

 

ペトリコール(英: Petrichor)は、雨が降った時に、地面から上がってくる匂いを指す言葉。ギリシャ語で「石のエッセンス」を意味する。

Wikipediaより引用

 

ーーという意味らしい。

ようは雨の匂いだ。これは僕にも覚えがある。 

 

お昼過ぎの西鉄天神駅。雨が降りそうな曇天。街行く人。昼からうるさいキャッチ。雨の予感の匂い。

そんな描写が過去の記憶から蘇る。僕はずっと雨の香りと呼んでいたけど、あれには明確な名前があったのか。

 

僕は感動を覚えた。日常の中にあった、名前のない感覚に、すでに誰かが名前をつけていたのだ。共通の名称があるということは、僕がその感覚を知らない誰かと共有できるということを指す。誰かが自分と同様の感覚を持っていることへの再発見。

自分の感覚に名前があったことに感動を覚える。いや、もしかしたら感じている詳細は違うのかもしれないが、しかし同じものを認識している。クオリアの問題は一旦横に置く。

 

自分がなんとなく感じていた雨の匂いという、固定名称がないものに名前がついた。それは他人が認識する世界と自分の見る世界が繋がっている確たる証拠。そんな繋がりを再発見することを、ペトリコールの意味ひとつで感じられたのだ。

それを喜びと言わずなんと言おうか。僕の日常は誰かと共有されている。それを言葉として感じられる。

 

あの匂い、関東に来てから感じていないな。在宅勤務が多いからというのもあるけど、長らく嗅いでいない。故にペトリコールの意味を知るまで思い出すこともしなかった。

急激にペトリコールを感じたくなったけれど、あれは嗅ごうとして嗅ぐような匂いじゃないんだよね。ふいにやってくる日常を構成する要素。嗅ぎに行くことはできるかもしれないけど、それじゃ日常の要素じゃなくなるんだ。無自覚、無意識に嗅覚にやってくるのが良い匂い。

 

強いて言えば、雨が降りそうな、天気の崩れそうな日に散歩でもしてみようかな、という気分。ペトリコールとは別の目的を持って、そのついでにそれを感じたいな、なんて思う。