先日初めて風俗(デリヘル)に行った。
100分で予約したのだけど行為は結構早く終わってしまって、残り時間はずっと雑談をしていた。いろいろ話したのだけど、これが結構面白くて……接客業のプロってやつなのかな、というのがとても実感できてよかった。
まず前提として、話が途切れない。これは誰にでも出来るようで簡単ではないことだ。特に、僕みたいに積極的に自分のことを話さない人間なら尚更だ。そんな相手と会話を続けるにはうまく話題を回し続けることが重要である。
それが自然とできている。
しかも、自分語りではなく僕に話させる。
質問形式で聞いてきて、僕が答える。そしてその回答から一つレスポンスを返し、そしてまた質問する。そんな感じの流れ。これは簡単そうで意外と簡単じゃない。
イエスノーで答えられる質問だけではそのうち会話に詰まるし、深い質問をしすぎるとそれはそれで警戒されて話が進みにくくなる。
その塩梅の絶妙なラインを攻めてきた。無意識でやってるならコミュ強だね。
――あとすごいなぁと思ったのはたとえ話がうまいこと。
僕が写真が最近楽しいって話しすると、なんか絶妙な例えを出して質問してくれた。例えがうまい人は賢い人が多い。そこでなんとなく「あーこの人地頭いいんだろうなぁ」と思った。
そんで、すごく賢さを感じたのは「なんで?」の筋道がいいこと。
写真が楽しいって話の続きで、
「写真って人に見せる用ですか?」
――いや、完全自分用ですね。
「ってことは人に見せないってことですよね?なんで撮ってるんですか」
――うーん、自分の思い出とかを残しときたいからですかね。あんときこんなことあったなぁとか、写真を見ると自分の思い出が出てくるじゃないですか。あれが好きなんですよ。
「なるほど。えじゃあ、例えば初めて食べるご飯屋さんのご飯の写真撮ったら、次行くときは写真って撮ります?誰と一緒に食べたとか、いつ食べたとかが違えば同じものでも写真として残すんですか?それとも残さない?」
この質問が出てきたときに「賢いな」と思った。日常会話しててここまで深ぼって聞いてくる人はなかなかいない。ここまで流れるように質問できるのは、相手の話に興味をもって、かつ自分の頭で考えている人だけだと思う。誰にでもできることではない。
経験によるものか……はたまた天性によるものか……どちらにしろここまで的確なポイントをついた質問できる人よりも、できない人の方が多いだろうことを僕は知っている。――まぁ少なくても僕にはできないだろうし。
ちなみに僕は「それが思い出に残したい状況なら同じでも撮りますね」って答えた。
こんな風に会話の端々に知性を感じたのだけど、残念だったのは「自分の話」が出てこなかったこと。
「他のお客さんで~」って他人の話は出てくるが、自分の話は出てこない。までも雑談してる中でフィーリングだけど、話せることないんじゃないかな?と思った。恐らく、趣味と呼べるほどのものがないんだと思う。この女性なら自分の趣味の話とかでも面白く話してくれるだろうに……と思うだけに残念である。
……いや、もしかしたらそれも演技なのかもしれない。自分の情報なんて、見ず知らずの客に出さないに越したことはないだろう。だとしたら違和感なくそれをこなすのは間違いなくプロである。
正直初めての風俗、雑談の方が面白かった。この子と話すならいくらか出す価値があるな、と思うほど。それがたまたまだったのか、夜の仕事の人は賢い人が多いのか……それはわからないけど、個人的には幸運だったと思う。