旧中川を川沿いに歩いていると、ある施設を発見した。特に目的もなく散歩していて見つけた、江東区中川船番所資料館と名前が書かれたいう3階建ての建造物。
僕はこういうの施設が大好物である。よく知らん地域の歴史を覗き見る感覚が好きなのだ。入場料は200円。安い。
3階、2階の順で回っていくらしい。受付のすぐ後ろのエレベーターでまずは3階へ。
エレベーターが開いて最初に目に入ったのは酒樽を詰んだ小舟?どうやら旧中川は昔から東京の水運の要となっていたらしい。江戸時代には特に重宝されたとか……そんなことが壁の説明書きに書かれてた。
関所の再現。結構細かくて、地面が普通に土である。薄暗い照明もあわさってなんだか厳かな雰囲気ある。なんか時代劇でありそう。「ここを通りたくば金を置いてゆけ」って感じなのかな?
これはヤマメの釣竿。もうなんか極めすぎて芸術品の域に達している。これを作れる職人はもうこの世には居ないらしい。江戸時代から作られているそう……すごい。
にしても関所から釣りって……なかなか関連性ないぞ?いや、地域の風土としてはアリなのか?温度差がすごいけど……
順番に進んで行くと江戸時代から近世に流れていく形式。よくある時系列展示である。くずし字で書かれているので読めないものが多いのだけど……
これは辛うじて読めた。渡船の運賃表らしい。縦軸と横軸に場所が書いてあって、その交差点に金額が書いてある方式だ。最近はあまり見なくなった料金表の形式だね。
時系列展示を抜けると旧中川を一望できる展望台。川辺りのさっきまでいたカフェやチューリップがよく見える。
3階を見終わり、次は2階へ。2階もどうやら時系列順っぽいけど、エレベーターが開いて眼前に現れたのは昭和だった。
白黒テレビ、ちゃぶ台、黒電話……半世紀前の日常。半世紀でここまで変わってしまうのだから、ジェネレーションギャップがあるのもうなずける。にしても白黒テレビが動いているのは、古めかしい古代の遺物のハズなのに、かえって新鮮味がある。
そう、僕が生を受けた頃には既に日常にはなかった異物。前提がないからこそ、新しく見えるのだろう。
そこから暫くは昭和の展示が続く。一緒に来た友達は、そこにあるいくつかの機械に覚えがあるらしくて、そのエピソードを話してくれた。僕はあまりに馴染みがなくて聞き手に回るしか無かった。でもそんな友人の話ひとつで、展示されている昭和の生活は今と地続きなんだと感じられた。
展示を見終わって最後。資料館を出る時に見つけたダイヤル式の電話。電話をかける体験が出来るそう。こうして昔の日常は非日常になるんだな、なんて考えさせられるおまけだった。
200円でこれだけ見れるなら、充分に元が取れる施設だと思う。こういうのがあるから目的もなく遊びに行くのがやめられないんだよね。