確か小学三年生の時、我が家でお小遣い制度が発足された。金額は「(学年- 1)×100」。つまり200円である。あの頃の200円は大金だった。何でもできるような気がした。お菓子はいっぱい買えるし、ポケモンカードも買える。流石にDSのソフトは買えないけど、それは誕生日に買ってもらったばかりだから別にいい。
あの時は10万円とか、本当に何でもできるお金だった。というか10万円で何ができるのかよく分かってなかったから、何となく何でもできる額に感じていた。
さて、200円を大金と感じていたガキの僕だけど、その考えはすぐに崩れる。何と小遣いについて家計簿をつけることを義務付けられてしまった。レシートを家計簿に転記するうちに「2000円って大したことないな」と思うようになった。
この感覚はじわじわと上がっていき、高校の頃に小遣いは月5000円になった。
この時には1万円は手に届く金額であり、5000円とかカスとまではいわないけどすぐなくなる金額だった。自分で模試代出したり、お昼ご飯足りなくて買い食いとかもよくしてたからね。小3の25倍の金額が取るに足らない金額になってしまった。
この感覚が少し矯正されたのは大学に入ってバイト始めた時だ。あの時にバイトして「5000円って俺の時給6時間分なのか……」と5000円に重みを感じるようになった。両親に「小遣い5000円じゃ足りんわ!」って言ったのを少し後悔した。
一人暮らしを始めてからその価値観はよりシビアになった。学費を抜いて、家賃等入れて月10万。僕はこの金額で生きていた。この時の5000円はめちゃくちゃシビア。友達と飲みに行けば消える金額だけど、上手くやればこれで2週間は食える。100グラム54円の獣臭い鶏胸肉なら余裕である。
旅行前はUber配達員やって追加収入で何とかやりくりしてた。
そう考えると10万円は一人暮らしで生きていくのに最低ラインの金額とも言える。僕は10万あれば生きてはいける。楽しいかどうかは別にして。
僕が大学生だった頃はコロナ全盛期で各世帯に10万円が配られた時期だ。政府から支給された10万は学費に消えたが、何と一人暮らし学生向けにはプラス10万支給された。んでもこれは丸々パソコンに消えた。僕の家に生活費1ヶ月分のパソコンがやってきた。あん時ほど10万円の質感がリアルだったことはない。
そんで社会人になった今。10万円はポンと出せる金額になってしまった。それでも10万円の質感は大学生の時のままだ。これがこれからどんどん稼げるようになるとまた変わっていくのか……それともキープされ続けるのか……わかんないけど、10万円はまだ僕にとって大金である。